当クリニックの心臓ドックについて

心筋梗塞や突然死を未然に防ぐ

写真 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、年々増加傾向にあり、本邦の死亡原因の内、癌についで第二位となっております。また、いわゆる突然死といわれているもののなかには、 心筋梗塞によるものがかなり多いと考えられております。

虚血性心疾患は冠動脈の動脈硬化によって起こります。虚血性心疾患の家族歴などの遺伝的因子を背景にして、喫煙や過食などの誤った生活習慣、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満症などの生活習慣病により、冠動脈の動脈硬化は進展します。

他施設において"心臓ドック"と称される健康診断が数多く行われております。これらの心臓ドックは、心電図・胸部X線に加えて、心エコーやトレッドミル検査をする程度で、偽陰性(本当は虚血性心疾患があるのに、結果は陰性で、放置されることになる)となる症例が多く認められます。このような見落としはドックにとって、絶対にあってはならないことなのです。

そこで、当クリニックでは、最新鋭のデュアルソースCTを利用して、低侵襲的に冠動脈を直接に見ることができる、冠動脈CT造影を心臓ドックに導入しました。心筋梗塞や突然死を未然に防ぐことに多大な貢献をしております。

64マルチスライスを超えた「デュアルソースCT」(シーメンス社製)

picture 心臓は常に拍動しています。動いている心臓の表面を走行する冠動脈は、従来のCTでは撮像することが出来ませんでした。しかし、ガントリー (CTのドーナツ状の部分)の回転速度の高速化とマルチスライス化により、冠動脈CT造影が可能となりました。

これまで虚血性心疾患の診断のゴールデンスタンダードは心臓カテーテル検査でした。心臓カテーテル検査は、患者さんに恐怖感、痛み、危険性を与え、また入院が必要となり、患者さんに経済的・時間的な負担をおかけすることになります。

そこで、冠動脈CT造影の導入により、安全で経済的・時間的にも負担が少なく、心臓カテーテルにかわる、新しい虚血性心疾患の診断方法として、注目されております。当クリニックでは、64スライスCTにて冠動脈CT検査を行ってきましたが、平成20年1月に64スライスCTを超える、デュアルソースCT(Definition)にアップグレードしました。

このデュアルソースCTは、64スライスCTの管球を2台搭載しており、これにより、鮮明度(時間分解能)が2倍になり、動いている心臓がより鮮明に見えるようになりました。また、64スライスCTでは、放射線被ばく量が心臓カテーテル検査と同等またはそれ以上と言われております。デュアルソースCTは、心電図に同期して画像に必要な線量のみの照射を行うため、64スライスCTの1/2の放射線被ばく量で済むことになり、真の意味で患者さんにやさしい検査に近づいたと言えます。

患者さんはベットに寝ているだけでよく、約5~8秒間の息止めをしていただくだけで、心臓全体を撮像することができます。患者さんの精神的、肉体的な負担がかなり軽減されております。撮像されたCTデータは、数分から10分程度で、3-D画像に再構成されます。3-D画像とMPR画像という特殊な断面で、冠動脈の内腔の狭窄度と、心臓カテーテル検査では見ることができない冠動脈壁の性状までを診断することができます。

冠動脈CT造影により動脈硬化の進展程度の評価、狭心症や心筋梗塞などの早期診断に非常に役立っており、早期治療につながっております。心筋梗塞の発症や突然死が予防出来る事を願っております。